Apogee BOOMは、2in/2outのUSB-Cオーディオインターフェースです。Focusrite Scarlett系のように入出力の汎用性で押すというより、Apogeeらしいコンバージョン、マイクプリ、ヘッドホン出力、そして本体内DSPをコンパクトにまとめたモデルとして見るとわかりやすいです。
直近でFocusrite Scarlettを扱っているので、今回は別メーカーとしてApogeeに注目します。BOOMは2026年6月7日時点でApogee公式価格が299ドル、サウンドハウスでは35,200円税込の掲載を確認しました。
BOOMの基本構成
BOOMは1つのコンボ入力、1つのHi-Z楽器入力、2つのバランス出力、ヘッドホン出力を備えた2in/2outモデルです。バスパワー動作なので、Mac、Windows、USB-C接続のiPad環境でも使いやすい設計です。
入力数だけで見ると、4in/4out機や複数マイク録音向けの機材には負けます。ただ、歌、ギター、ベース、ナレーション、配信、1人宅録の入口としては十分です。むしろ入出力を絞ったぶん、音質と操作をシンプルにまとめている印象です。

Apogeeらしい音質重視
Apogee公式では、BOOMのマイクプリは最大62dBのゲイン、A/D変換のダイナミックレンジは122dB、D/A変換は117dBと案内されています。数字だけで音楽が良くなるわけではありませんが、モニターの見通しや録り音の余裕は、日々の制作でかなり効きます。
特にヘッドホンで制作する人には、ヘッドホンアンプの質が大事です。BOOMはスタジオグレードのヘッドホンアンプを打ち出しており、IEMから高インピーダンスヘッドホンまで鳴らせる方向で設計されています。
DSP内蔵の意味
BOOMの特徴は、Symphony ECS Channel Stripを本体内DSPで使えることです。3バンドEQ、コンプレッサー、Driveを録音中のモニターに使えるので、ボーカルやギターを気持ちよく録りたい人には便利です。
これはApolloのUADプラグイン環境とは思想が違います。大量のプラグインを本体で動かすというより、録音時に必要なチャンネルストリップをシンプルに使う方向です。設定が増えすぎない点は、初心者にもメリットがあります。
配信・宅録での使いどころ
Apogee Controlミキサーでは、アナログ入力、DAW音、SpotifyやTwitchなどの音声をブレンドできると公式で説明されています。配信やオンラインレッスン、制作配信をする人には、このルーティングの扱いやすさが重要です。
ギタリストなら、Hi-Z入力にギターを挿してアンプシミュレーターへ送る使い方が中心になります。ボーカルとギターを同時に録る場合は、コンボ入力にマイク、Hi-Zにギターという構成が現実的です。
Scarlett 4i4との違い
Scarlett 4i4は入出力数やMIDI、4in/4outの拡張性が魅力です。一方、BOOMは2in/2outに絞り、Apogeeの音質、DSP、ヘッドホン出力、コンパクトな制作環境を重視しています。
外部シンセや複数ライン入力を常時つなぎたいなら4i4系、1人録音で音質とモニターの気持ちよさを優先するならBOOMが合いやすいです。どちらが上ではなく、制作スタイルの違いです。
買うべき人、見送っていい人
買うべきなのは、1人宅録で歌やギターを高品質に録りたい人、ヘッドホン制作が中心の人、配信も視野に入れつつ音質を重視したい人です。Apogeeブランドの音を比較的手頃に試せる点も魅力です。
見送っていいのは、ドラム録音や複数人収録をしたい人、MIDI端子が必要な人、モニターアウトとヘッドホンを同時に細かく使い分けたい人です。入出力数が必要なら、Duet 3や別メーカーの4in/4out以上を検討したほうが安全です。
まとめ
Apogee BOOMは、スペックの多さより「少ない入出力で気持ちよく録る」ためのオーディオインターフェースです。Focusriteとは違う方向で、宅録の入口から一歩上の音質を狙いたい人に合います。機能の数ではなく、録る音と聴く音の質を優先するなら、かなり面白い候補です。
なお、過去に扱ったFocusrite Scarlett系と比較する場合でも、この記事ではBOOMを主役にして見ています。同じ価格帯でも、入出力の多さを取るか、Apogeeらしい録音とモニターの質感を取るかで選び方は変わります。購入前には、普段つなぐ機材の数と、ヘッドホン制作の比率を一度書き出しておくと判断しやすいです。
